帰国時に銀行口座をどうするか

海外留学を終え帰国する際、現地で開設した銀行口座(bank account)をどうしようか迷う人がいるのではないでしょうか。

選択肢としては二つ。残すか、閉じるか、です。

目次

口座を残すメリット

私は株や外貨、投資といったお金の使い方に疎いため、残念ながらそのような視点から詳しく述べることはできません。ただ、アメリカに銀行口座を残すことで、私なりのメリットが幾つか想定できました。

今後もドルで直接支払える

今後アメリカの学会や旅行に行った際、口座を維持していれば銀行発行のdebit cardが使えます。日本のクレジットカードを使う必要がないため、支払うたびに”円→ドル”に変える必要がありません。お得です。今後も年1,2回は学会などでアメリカに行く予定であることを考えると現地の銀行口座を保持するメリットは大きいように思いました。

お金を分散できる

私は投資や資産形成といった分野に疎いですが、それでも一箇所にお金を集めておくことには少々抵抗を感じます。

今後いつまで日本が今の地位にいられるかわかりません。オハイオ時代にラボで一緒だった同僚の出身国では、祖国の紙幣の価値が1年間で1/10にもなっていました。

留学すると、あまりにも世界のレベルが高く、人々が努力している姿を目にするため、日本が近い将来世界に飲み込まれるのではないかという危機感を感じます。

日本円の価値が今後どうなるかわからないのであれば、国外の銀行でドルでの資産を持っておいた方が賢い気がしました。

海外のiTunes/apple storeをつかえる

どうでもよい事かもしれませんが、私は留学中にアメリカのitune storeに変更していました。変更には現地のクレジットカードやデビットカードが必要になります(現地のapple cardでも良いですが。。)ので、帰国後に日本のstoreに戻してしまうと、アメリカの銀行口座がない限りもう元には戻れません。アメリカのstoreでしか買えないアプリも結構あるので、できればアメリカの口座を残しておきたかったです。

 

以上のことを踏まえ、私の症例報告です。

Case 1:オハイオから帰国時

地方銀行のデメリット

オハイオに留学(1回目)していた時は、Hunchington Bankという地方銀行に口座を作っていました。そして上記のような理由から、帰国後もアメリカの口座を残したいと考えていました。

しかし、いざ口座を残そうと考えた時に、ある問題に気づきました。このような地方銀行は、他の都市に支店がないことも多く、何か問題が発生してもオハイオにある支店を直接訪れない限り解決できない可能性があります(たとえば、後述のようなdormant accoutのreactivation)。でも、一旦帰国したら、オハイオなんてそうそう行く場所ではありませんよね。

口座を解約、、、しようとしたが、、、

そこで、私は口座を閉める方針に変更しました。

クレジットカードの支払いと口座からの引き落としには数日の時間差があります。口座を閉めた段階でクレジットカードの支払いが残っていたら、不払いで大変なことになります。ですので、帰国1週間前より米国のクレジットカードの使用を止め、口座を介した取引が全て終了している状況を作っておく必要がありました。

しかし、いざ口座を閉めようと銀行を訪れる段階で、私の不備で何らかの支払いが残っていたケースは本当にないのだろうかと考えるようになりました。もし未払いがあったら、日本まで取り立てに追いかけてくるのではないだろうか。クレジットヒストリーが傷つくのではないだろうか。。。

悪い想像は膨らむばかりです。結局口座に少しだけお金を残し、万が一のケースに備えることにしました。$200程度の残高を残し、あとは全て小切手にして引き出しました。今後その地方銀行の口座を使う予定はなく、残高の$200は国に没収されるつもりの行動でした(時期的には、そろそろ没収されたのではないでしょうか)。

Case 2:ボストンから帰国時

メジャーな銀行口座を開設

オハイオでの教訓を生かし、2回目の留学ではBank of America(BOA)というメジャーな銀行に口座を作りました。渡米時より、帰国時に口座を残すことを考えていた、ということです。

そしていよいよ帰国が近づいてきても、口座を残すつもりであったため、オハイオの時のように帰国数日前にクレジットカードの使用をやめることもしませんでした。

そして帰国前日、ある程度はお金を引き出そうと銀行を訪れたところで、自分の無知を痛感することになりました。

口座の維持には定期的なtransactionが必要

口座を維持するためには、定期的なtransaction(取引)が必要です。考えてみれば、日本でもそうですよね。

Inactive account

銀行によって異なるようですが、6~12ヶ月(この期間は、州や銀行、accountの種類によって変わるようです)の間、全くtransactionがないと”inactive account”になります。何かしら口座でお金が動けば良いので、コーヒー一杯買っても良いですし、自分のchecking accountからsaving accountにお金を移すだけでも構いません。

Dormant account

Inactive accountとなってから更に12ヶ月間transactionがないと、”dormant account”という状態になります。こうなってしまったら、口座をreactivateするために支店に出向かなければならないため大変です。

そして没収

Dormant accountとなってもある一定期間何もしないと、遂には口座内の資金は州や国へと没収されます。

口座の維持は、私には向いてない

Bank of Americaのスタッフは言いました。

「毎月コーヒーを一杯でいい。日本でdebit cardを使いなよ。それで口座は維持できる」

なるほど。それなら定期的なtransactionになり、口座は維持できます。でも、私にはそれができない自信がありました。専門医の申請だって、資格の更新だって、毎回締め切りギリギリになって点数や書類が足りないことに気づいて慌てるんです。月一回必ずdebit cardを使うなんて、絶対に忘れるに決まっています。

しかも、inactivate状態になった時、アメリカの非居住者である私にはreactivateの手続きがややこしくなる可能性がありました。

こうなったら、口座を閉めるしかありません。しかし、来店前日までクレジットカードを使ってしまっており、まだ未払いが残っており口座を閉めることができません。なんという、準備不足でしょう。いつものことではありますが、帰国前日になってこんな状況になるとは。。

私の決断

未払いが残っている限り、口座を閉めることはできません。しかし、口座の維持には定期的なtransactionが必要になります。そこで私がとった方法は、

自分のchecking accountからsaving accountに毎月自動的に$2だけ動かす

です。BOAであれば、オンラインで設定できます。こうすれば、ズボラな自分でも口座を維持できますね。

ちなみに、口座の維持費を無料にするには、ある程度の金額が口座に残っていなければなりません。Checking accountにも、saving accountにも、それぞれ維持費を無料にするボーダーラインが存在します。それを下回ってしまうと、プランにもよりますがBOAであれば毎月$12~$25も差し引かれてしまいます。

ということで、現在はアメリカの銀行口座は(維持に必要な最低限の金額だけ残して)保持しています。

しかし、トランプ政権以来、アメリカの移民に対する風当たりが強く、いつ外国人の口座を差し押さえるという暴挙にでるかわかりません。移民の一個人の意見には殆ど耳を貸さない国ですし、そもそも非居住者ですので、権利も何もありません。何かあったら泣き寝入りです。

できればそんな状況は避けたいですよね。そう思っている私は、次回の渡米時、近くのBOA支店に行って口座を解約しようと(今は)思っています。

まとめ

帰国時に海外の銀行口座を残すか閉めるかは、皆さんのメリットデメリットを考えて決めたら良いでしょう。特にお金のマネージメントが上手な人であれば、メリットも大きいのかもしれません。ただし、上記のように口座の維持には注意が必要です。私のような状況にならないよう、帰国前には早めに銀行に行き、方針を相談することをおすすめします。

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