奨学金で面接に呼ばれるための準備:書類選考

海外に留学するとなれば、金銭面が問題になりますよね。研究者などで留学先から給料が出る場合もありますが、無給の方もいらっしゃいますし、大学院ともなれば多額の学費がかかります。

ちなみに、ハーバード公衆衛生大学院では、年間700万円程度の学費に加え、月20~40万円程度の賃貸契約、家族4人で年間100万円を下回らない医療保険、そして自販機のコーラ一本200~300円程度する物価の高いボストンでの生活なので、とてつもないお金が必要となります。

そんな時に考えたいのが奨学金です。一般に「奨学金」といえど、様々な金銭的補助の形があります。返済不要な給付型や、利息のつく貸与型、大学院で学ぶことを奨励する奨学金や、研究留学を補助する研究者向け奨学金などです。

私は幸い、吉田育英会から海外大学院留学をサポートする奨学金を頂くことができました奨学金が無ければ家族連れで海外の大学院留学は厳しい状況だったので、本当に感謝しております。

ちなみに、吉田育英会では、

・学校納付金として合計250万円

・生活滞在費として月20万円

・扶養補助として月2万円

が支給されるので、一年で約500万円もいただけることになります。

ここでは、私がどのような経緯で奨学金をいただけることになったのか、今後海外に羽ばたき、日本に還元してくれるだろう方々の参考になればと思い、書き記したいと思います。

目次

まずは応募資格

まずは、応募資格をチェックしましょう。下は吉田育英会の派遣留学プログラムの募集要項(2020年度ですが、私の時と変わってないと思います)の一部で、特に注意すべき項目を抜粋しています。

・2019年4月1日現在において35歳未満である方。

・奨学生採用内定後、2020年4月から2021年3月までの間に新たに留学を開始する方。当会の応募締切時においてすでに留学中の方や、学部または大学院で1年超の留学経験を有する方は対象となりません

・応募時において日本の大学に在籍している方(学生、教育研究職の別を問わない。大学付置研究機関を含む)。

・次のいずれかを留学の目的とする方。

1海外の大学の博士号を取得すること。 2海外の大学院同等の研究機関で研究を行うこと(日本の大学の博士号を留学開始までに取得してい る場合のみ。いわゆるポスドク研究員。留学期間は2年間であることが望ましい。)。 3海外の医学医療・公衆衛生系大学院で専門職学位を取得すること、または同等の研究機関で研究を行うこと(日本の医師免許を留学開始までに取得している場合のみ)。

私費留学生である方。民間企業から派遣される留学生は対象となりません。また、留学中に他に収入のある方は対象になりません。

・留学先で人文科学、社会科学、または自然科学のいずれかの分野を専攻する方。ただし、語学研修、 芸術の実演・制作及びそれらの研修を目的とするものは除きます。

・留学先で支障なく勉学、調査、研究を行う語学能力のある方。英語圏に留学する方は、奨学金の応募 に先立ち、TOEFL(団体向けのITPテストは不可)またはIELTSをあらかじめ受験してください。

私の場合、申請時の年齢を考慮すると(大学院留学に対する)多くの奨学金は対象外でした(研究留学なら年齢制限はもっと緩い)。他にも、大学に在籍していなければならないなど、応募には様々な条件が必要となります。

まずは、数多く存在する奨学金から、自分が応募可能なものを見つけ出すことが第一歩となります。

ちなみに私の場合、資格を有し、応募できたのは吉田育英会だけでした。

応募条件を再チェック

応募できる奨学金団体をにみつけたら、必要書類を集める前に、もう一度応募資格の詳細をチェックしてください。書類の準備は時間と手間がかかります。準備した後に、「あれ?応募資格を満たしてないじゃん」とならないようにです。

私は痛い目をみました日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度は、私が年齢的に申し込める数少ない奨学金でした。卒業大学と所属大学が異なるため、遠くの母校に連絡を取り、成績表や卒業証明書など多くの書類を集めました。その他、留学計画書や社会貢献活動への参加計画書、現在の在職証明書、健康診断書まで必要でした。推薦状も忙しいところわざわざ書いて頂き、全ての書類を集め全て印刷し、本のような厚さの書類一式を送付いたしました。

そして一本の電話がありました。

大学時の成績が応募基準を満たしてないです」

え?って感じでしたね。どうやら、当時の母校の成績は4段階評価(A, B, C, F)でした。この場合、JASSOの基準では「B」では点数が下がるんです。一方、5段階評価(A, B, C, D, F)では、AとBは同じ最高点なんです。私の成績表は「A」か「B」が多かったのですが、「B」では減点されるんですね。そのため、応募基準を満たさなかったようです。

担当者曰く「申し訳ありません。医学部の卒業生には不利に働くことが多いようです。他学部の学生は、Aが殆どであったり、5段階評価でAかBなので、JASSOの基準では満点なんですが、医学部は4段階のBをつけられることが結構あるので、減点になるんです」

だそうです。10年以上前の成績がこんなに足を引っ張るとは。一ヶ月以上かけた準備がすべて無駄になった瞬間でした。

私のようなことにならないよう、皆さんは書類を準備する前に、本当に応募できるのかもう一度チェックしてください。

※もしかするとJASSOの応募基準も変わっているかもしれないので、各自最新版をチェックしてください。

書類審査

第一難関は、書類審査です。ここで勝ち抜かなければ、面接さえされません。私の場合、面接まで行けば何とかなるという変な自信がありましたが、書類で落ちてしまっては土俵にさえ上がれません。しっかりと書類を準備する必要があります。

自己アピール

どの奨学金でも、自分の研究内容やアピールポイントの提出が求められることが多いでしょう。ここで、何気に大切なことが、

奨学生としてどんな人物を求めているのか

を理解することです。奨学金とは、多額のお金を無償で人物に投資することです。下手したら、その団体には何のメリットもないかもしれません。それでも、将来性のある人物なり、日本への還元なり、何かしらの期待を持ってお金を給付しています。そのため、それぞれの団体がどのような人物を求めているのかを理解しましょう。ちなみに、吉田育英会では、求める人物像として以下のような記載があります

当会は、〈日本人派遣留学プログラム〉奨学生として、次に掲げる点を兼ね備える人材を求めます。

・学術研究のレベルが高い方
・留学の目的意識を明確に持っている方
・成果の社会還元の志を有している方
・リーダーとしての資質を有する方
・豊かな個性があり、研究内容に独創性が感じられる方

だそうです。吉田育英会に提出するpersonal statement的な自己アピール文を書く際には、上記のような点に気をつけて書く必要があるでしょう。

実際、合格者の集まりがありそれぞれの奨学生の自己 short presentationを聞きましたが、将来性のある唯一無二の研究をしている人や、社会貢献が実現しそうな視野を持っている人、見るからに個性的な人など、なるほどな〜と感じる人達が選ばれていました。

研究アピール

おそらく、どの大学院留学の奨学金審査においても、自身の研究について述べる必要があると思います。結局は独創的で実現可能性があり、将来性のある研究をプレゼンする必要があります。

例えば、吉田育英会の審査員は大学の教授など、アカデミックで活躍している方々です。小手先の技は通用しません。机上の空論など、すぐに見抜かれます。

しかし、私が思う有効な方法もあります。それは、科研費の書き方を参考にすることです。アカデミックで活躍している方々が審査員であり、彼らが一枚を読むのにかける時間はごく僅かであり、その短い時間でどのくらい印象良く的確に研究を伝えられるのか、といった点で、科研費の書き方は参考になると思います。私の場合も、科研費の申請に使った文章を参考にして申請書を作成しました。

 

次の記事では、面接について書きたいと思います。

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