USMLE

30歳からのUSMLE

前回記事にしたように、私は医師5年目になって初めて海外留学というものに興味を持ち、そこから初めてUSMLEの勉強を始めました。USMLEを受験した人の多くが学生の頃から何かしらの対策をしているのに対し、私は30歳を過ぎて勉強を開始しました。

月10回以上の当直をこなす普通の麻酔・集中治療医でしたが、臨床の合間に勉強を始めて1年未満に、Step 1とStep 2 CKに合格することができました。その後Step 2 CSにも合格し、アメリカでの臨床が許されるECFMG certificationも取得しました。あまり自慢できるものではありませんが、以下が私のスコアです。

USMLE Step1   : Score 222

USMLE Step2 CK: Score 219

USMLE Step2 CS: Passed

海外の臨床を覗いてみたい、でもUSMLEの受験はちょっと、と考えている医師は、少数ではないと思います。私もUSMLEを受験する以前、様々な体験記を読むたびに、「あぁ、大変そうだな」と感じ、勉強する気が削がれていました。

そんな方へ

(スコアを気にしなければ)USMLEの合格は難しくない

とメッセージを送りたいと思い、私の経験をシェアしたいと思います。

当時の目標

目標は、USMLEを合格してアメリカで臨床ができるようになること。既に麻酔標榜医であり、Step 2 CSの受験時には日本で麻酔と集中治療の専門医となっていたことから、アメリカでわざわざレジデンシーからやり直すつもりはありませんでした

当初の戦略としては、さっさとECFMG(USMLE Step 1, Step 2 CK, Step 2 CS)を取得し、コネを使ってアメリカでフェローを1年ないしは2年程度やってやろう、というものでした。ECFMGを取得することが最優先でありスコアは気にしない、というのが当時の私の考えていたことです。

Step 2 CK:勉強期間6ヶ月

当時、既に5年近く臨床にどっぷり浸かっていたので、基礎医学の試験であるStep 1よりは臨床医学の試験であるStep 2 CKの方が取り組み易いと思い、CKから受験することにしました。

以下、簡単にですが、私が使った参考書や問題集を紹介いたします。

Year Note

言わずと知れた、日本医学生のバイブルです。学生の頃に使ったYear Noteを引っ張り出し、問題集を解きながら医学英単語をYear Noteにどんどん書き足していきました。Cystic fibrosisといった、日本の医師国家試験では殆ど出ないような疾患が幾つかありますが、基本的には日本の知識で問題ありません日本の医学用語に対応した英単語を覚える作業の繰り返しでした。

Blueprints Obstetrics and Gynecology

産婦人科に関しては、日本の国家試験の知識ではやや足りないため、この参考書を購入し、追加で勉強しました。

First Aid USMEL Step 2 CK

Step 1のFirst Aidが素晴らしい本であるのに対し、Step 2 CKのそれはあまり良い参考書ではありません。ただ、アメリカでは麻薬中毒などのsubstance abuseが問題となっているため、USMLEでもそのような中毒系の設問が数多くあります。このような追加の部分だけ、First Aidを使って勉強しました。

BRS Behavioral Science

行動科学といって、日本では習いませんがUSMLEには出題される分野があります。私も上記の本を購入しましたが、結局やりませんでした。

Kaplan QBank

Year Noteを使いながら、初めに解いた問題集です。USMLEがどんな試験なのか、日本の医師国家試験の知識+英語でどの程度解けるものなのかを、把握するためには、まずは一冊解くことをおすすめします。

USMLE World

私の場合、残りはUSMLE World (UWorld)というオンライン問題集を解くのみでした。本番の問題形式や難易度とほぼ同じですので、非常に良い問題集だと思います。

かなりの量があるため、2〜3周こなすのが精一杯でした。

そして受験

勉強開始から6ヶ月後、初めてのUSMLEの試験を受験しました。東京と大阪に受験会場があります。受験の申し込み方法は、プロメトリックのサイトに記載されていますので、そちらを参照してください。

パソコンに向かい、1ブロック40問を計7ブロック解きます。1ブロック1時間+休憩時間として45分が与えられますが、この休憩時間はどのように使っても構いません。連続して6ブロック解いて45分休んでも良いですし、ブロック間に毎回7分程度休んでも構いません。

私は調子に乗って最初の4ブロック程度休憩なしで連続して突っ走ったところ、頭が全く働かなくなり、問題文が全く頭に入ってこないという状態に陥ってしまいました。休憩しておにぎりを食べると復活したため、休憩や糖分は大事だと痛感しました。

試験結果は、3週間後の水曜日、日本時間で言えば水曜日の夜中から木曜日の朝にかけて、メールで届きます。木曜日の朝起きたらメールが届いている、といった感じになります。

私のスコアは上述の通りです。決してよいスコアではありませんが、アメリカでフェローをするためにECFMGを取得する、という目標には一歩近づいた瞬間でした。

Step 1:勉強期間4ヶ月

Step 2 CKが合格したので、調子に乗って、Step 1の受験日を4ヶ月後に予約してしまいました。Step 1 は基礎医学が中心であり、勉強するのは日本の国家試験以来でした。

First Aid USMEL Step 1

Step 2 CKのFirst Aidがダメな参考書であるのに対し、Step 1のFirst Aidは素晴らしいデキであり、正直これ一冊やれば合格できます。

USMLE World

上記のFirst Aidをベースとして、UWorldを解いていきました。Step 2 CKと同様、2~3周のみしかやりませんでした。

そして受験

約4ヶ月の受験勉強を経てStep 1を受験しました。試験形式はCKと同じです。同じ轍を踏まぬよう、今回はブロック毎に休みを小分けして解いていきました。お陰で、CKのような苦しい一日にはならずに済みました。

海外留学に興味を持ち、USMLEの勉強を初めて11ヶ月後のことでした。ついにStep 1とStep 2 CKに合格し、ECFMG certificationまで残すところCSのみとなりました。

Step 2 CS:4ヶ月

実は、Step 1やStep 2 CKとStep 2 CSの受験までに3年ほど時間が空いてしまいました。コメントすることもいろいろあるので、CSの対策や勉強方法は、別の記事でシェアしていきたいと思います。

まとめ

たとえレジデンシーを狙っていないとは言え、低いスコアで合格のみを目標とすることに対しては、賛否があると思います。ただ、私が言いたいことは、多忙な臨床医でも、そして私のような英語力のない人でも、1年あればUSMLEのStep 1やStep 2 CKは合格できるということです。

「難しい」「大変」といった先入観や噂に惑わされず、やりたいと思ったら挑戦してみたら良いと思います。

ABOUT ME
木村聡
福岡県の研修病院で初期研修修了後、大学に入局。米国オハイオ州に臨床研究で留学するも、知識の欠如を痛感。ハーバード公衆衛生大学院に進学し、MPHを取得。マサチューセッツ工科大学メンバーとの共同研究などに関与。 日本では麻酔・集中治療医として働き、オーストラリアでは小児集中治療を一から学び直しています。 乗り越える壁を見つけ続けることは、なかなか簡単ではありませんよね。アラフォー目前、様々な壁にぶち当たり、それなりに多くの経験をしてきました。私の挑戦や経験・知識、失敗談などが、他の誰かの刺激になり、役に立つことを切に願っています。 プロフィールをもっと詳しく見る

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