以下、Shone複合(Shone’s complex)の周術期管理について、麻酔科医・集中治療医が把握すべき事項について解説します。
目次
解剖・分類
Shone’s anomalyやShone’s complexと呼ばれ、僧帽弁弁上輪、僧帽弁のパラシュート型変形、大動脈弁下狭窄症、大動脈縮窄症から成り、1963年にShoneらによって初めて報告された。これらの病変によって左心系の様々なレベルで狭窄が発生する。
病態生理
症状は閉塞病変の解剖学的部位に依存する。例えば、パラシュート僧帽弁は、2つの僧帽弁尖が同一の乳頭筋によって支持され、腱索は短く肥厚し、僧帽弁尖は互いに近接して引き込まれるため、僧帽弁狭窄症を引き起こす1)。僧帽弁弁上ringは僧帽弁尖の心房側で取り囲むように存在する結合組織であり、僧帽弁への血液流入を阻害する1)。大動脈弁下狭窄症は左室流出路の部分的膜性肥厚や、より広範囲の狭窄によって引き起こされる1)。大動脈弁下狭窄症は新生児期には稀であるが、乳児期に急速に進行し、左室肥大が進展する1)。三分の二の患者は新生児期に大動脈縮窄症を呈する1)。
方針
外科的修復術としては、僧帽弁弁上輪の切除や、僧帽弁tensor apparatusのfenestration、僧帽弁修復/置換術、左室流出路の病変筋組織の切除が行われる1)。大動脈弓閉塞性病変が存在した場合、新生児期の外科的修復術が必要となることがある。
術前チェック項目
心エコー検査では、それぞれの狭窄病変についての評価を行う。
周術期管理
麻酔管理はそれぞれの狭窄部位を中心に考える。
- 大動脈縮窄症のある新生児では、動脈管開通のためのプロスタグランジンや、過剰肺循環を減らすための換気条件を必要とする。
- 左室流出路狭窄病変では、動的狭窄を改善させるためβ遮断薬が用いられる。大動脈弁下狭窄症かつ左室肥大を呈した患者では、心筋灌流のため動脈圧は維持するべきである。
- うっ血性心不全は利尿剤や強心剤の適応となり、術前後の肺高血圧はPDE阻害薬や一酸化窒素が適応となる。特に僧帽弁狭窄症を呈した患者では、左房圧を維持するため十分な前負荷と、心室拡張末期容積を適正化するため正常から徐脈気味が必要である。
References
- Anesthesia for Congenital Heart Disease, 3rd Edition. Dean B. Andropoulos et al.
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