小児心臓麻酔〜各論〜

大動脈弁下狭窄症の周術期管理

以下、大動脈弁下狭窄症(Subvalvular aortic stenosis: SubAS)の周術期管理に際し、麻酔科医・集中治療医が把握すべき事項について解説します。

解剖・分類

大動脈弁下狭窄症は左室流出路内の狭窄(Left ventricular outflow tract obstruction: LVOTO)であり、先天性心疾患の約1%を占める1)。大動脈二尖弁、大動脈弁狭窄症、心室中隔欠損症、大動脈縮窄症といった様々な先天性心疾患が合併する。

大動脈弁下狭窄症は、Shone’s complexの一部としてや心室中隔欠損症修復術後の乳児期に発症・診断されることもあるが、一般的には1歳未満で診断されることは少なく、年齢とともに症状が悪化することが多い1)

病態生理

起座呼吸、労作時呼吸苦、労作時胸痛や失神といった症状を呈する。重症度が年齢とともに増加するにつれ、左室流出路狭窄の進行から左室拡張不全と肺静脈高血圧を呈する。

大動脈弁を介した異常血流により大動脈弁の弁尖は肥厚し、大動脈弁狭窄症、左室肥大、大動脈弁損傷、大動脈弁閉鎖不全を引き起こす1)

方針

現在は、早期に介入される傾向にあり、左室流出路の最大圧較差が40 mmHgを超えた場合に外科的介入を考える1)。術式としては、大動脈切開により線維筋切除が施行される。早期に介入しなかった場合には大動脈弁逆流症への進展も危惧される。

狭窄部位によっては、Konno手術や人工弁置換、Ross-Konno手術が行われる1)

術前チェック項目

心エコーでは、

  • 左室流出路の圧較差:40mmHg以上で手術を考慮
  • 大動脈弁:弁の性状を観察。弁性狭窄や逆流の合併あり
  • 僧帽弁や大動脈縮窄症の有無:Shone’s complex (Shone’s anomaly)の一部としてSubASが表出することもある

周術期管理

大動脈弁下狭窄症の麻酔管理は、大動脈弁狭窄症と似ているため、そちらを参照。

 

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References

  1. Anesthesia for Congenital Heart Disease, 3rd Edition. Dean B. Andropoulos et al.
ABOUT ME
木村聡
福岡県の研修病院で初期研修修了後、大学に入局。米国オハイオ州に臨床研究で留学するも、知識の欠如を痛感。ハーバード公衆衛生大学院に進学し、MPHを取得。マサチューセッツ工科大学メンバーとの共同研究などに関与。 日本では麻酔・集中治療医として働き、オーストラリアでは小児集中治療を一から学び直しています。 乗り越える壁を見つけ続けることは、なかなか簡単ではありませんよね。アラフォー目前、様々な壁にぶち当たり、それなりに多くの経験をしてきました。私の挑戦や経験・知識、失敗談などが、他の誰かの刺激になり、役に立つことを切に願っています。 プロフィールをもっと詳しく見る

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