傍脊椎ブロックと肋間神経ブロック

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傍脊椎ブロック(Paravertebral block)

適応

傍脊椎腔は、椎体の左右の空間であり、椎間孔から出た脊髄神経が前枝(肋間神経)と後枝に分岐する前と交感神経が含まれる。それらが一様にブロックされるため、内臓痛にも効果がある。目標とする皮膚分節に一致したレベルをブロックすることで、胸部や腹部の手術が適応となる。

解剖

肋間には内肋間筋が存在し、正中方向に内肋間膜へと続く。さらに正中方向には肋骨と横突起を結合する上肋横突靭帯が存在する。傍脊椎腔とは、後面に上肋横突靭帯、内側面に椎体・椎間孔、前外側面に壁側胸膜で囲まれた三角形の空間であり、肋間神経がまさにこの空間を走行する。一方、後枝は上肋横突靭帯の後方の空間を走行する。

手技

プローべを脊椎と平行に、横突起上に当てる。脊柱起立筋が横突起に覆いかぶるように存在し、横突起と横突起の間で胸膜を描出する。プローべを正中方向に倒しビームをやや外側に向けた方が、胸膜とビームが垂直となり描出しやすい。胸膜と脊椎起立筋の間に斜めに走る上肋横突靭帯が白い線として描出でき、その前方で胸膜の後方の空間が傍脊椎腔である。頭側までスライドし、第一肋骨から数えてレベルを確認すること。肋間神経は対応肋骨の下に走行する。すなわち、T2をブロックしたければT2/3が目標である。

針の刺入角度が急峻でありin-planeで針全体を描出するのが難しいため、外側からout-planeで穿刺する。上肋横突靭帯を超えて傍脊椎腔に薬液を注入すると、胸膜が下に押される像が観察できる。ただし、傍脊椎腔と上肋横突靭帯よりも浅層の空間は交通しているため、上肋横突靭帯の後面に薬液を注入するMTP (midpoint transverse process to pleura)ブロックでも術後痛には効果がある。

一箇所にまとめて薬液を投与する方法と、目的とする範囲を椎体毎に分割投与する方法がある。一箇所の投与では上下に広がるのは2椎間程度である。乳房切除の手術前ならT2(←T2の横突起とT3の横突起の間)からT6(T1は多くが腕神経叢であり胸部の知覚支配は少ない)のそれぞれに穿刺、0.1-0.2ml/kg(成人では4-5ml)ずつ薬液を注入。術後ならT3とT5に0.2-0.3ml/kg(成人では12.5ml)ずつに注入や、T4に0.5ml/kg注入する(成人では25ml)。

肋間神経ブロック(Intercostal block)

胸部手術や胸壁の手術、胸腔ドレーン挿入部の疼痛に効果がある。

T2からT12の脊髄神経前枝は、同肋骨の下を伴走し、肋骨神経として胸腹部の知覚を司る。外側(側胸部)には内肋間筋が存在し、正中側(脊椎方向)の内肋間膜へ続く。外側では内肋間筋のよりも深層(胸膜側)に最内肋間筋が存在するが、正中側(脊椎方向)にはそれに対応する膜は存在しない。肋間神経(と血管)は、外側では内肋間筋と最内肋間筋の間を走行するが、正中側では最内肋間筋やそれに対応する膜がないため胸膜の浅層を直接走行する。

成人ではプローべを脊椎と平行に当てるが、小児では肋骨と平行に当てることもある。針の穿刺はin-planeでもout-planeでもよい。外側では最内肋間筋は薄い低エコー領域として胸膜直上に描出できる。外側で肋間神経をブロックする場合は、内肋間筋(+外肋間筋)と最内肋間筋の間に針先を進め、薬液を注入する。正中側のブロックは肩甲骨を避けやすく、低エコー領域の内肋間筋を探す手間が省ける。適切な部位に薬液を注入すると胸膜が深層に落ち込む像が確認できる。隣接するレベルに薬液が広がりにくく、肋間神経は隣接する領域も司るため、目標とするレベルとその上下1レベルにそれぞれ穿刺し薬液を注入する必要がある。0.1-0.3ml/kg(成人では3-5ml)ずつ薬液を注入する。

傍脊椎ブロックよりも浅いため、画像を得やすいというメリットがあるが、血管に富む領域であるため局所麻酔薬中毒が起きやすく、特に小児では注意する。

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