アメリカの公衆衛生大学院受験に必要な書類と手続き

これまでハーバード公衆衛生大学院(HSPH)について様々な解説をしてきましたが、意外にその必要書類や受験資格についてのサマリーがありませんでした。皆さんより質問がありましたので、ここで簡単にまとめたいと思います。

私はHSPHに入学しましたが、同じ年にJohns Hopkins大学を、その前年にはOregon大学とTulane大学の公衆衛生大学院をそれぞれ受験しております。そこで今回は、HSPHの受験資格(Master of Public Health: MPH)を中心に解説しつつ、他の大学との違いについても若干触れたいと思います。

目次

必要書類

アメリカにある殆どの公衆衛生大学院は、SOPHASというwebsiteを介して書類を提出します。SOPHASでアカウントを作成し、下記に述べるそれぞれの必要書類をアップロードすることで、複数校受験する場合でも何度も同じ書類を作成・送付する手間を省くことができます。

もちろん、Statement of Purposeなどは学校によって記載する内容は少しずつ異なる筈ですので、受験する学校それぞれに書類を作成しましょう。

Statement of Purpose

志願者自ら作成する自己推薦文のようなもので、合否を左右する非常に大切な文書です。一般的には、自分という人物や志願理由、自分の将来像(どのように公衆衛生という分野に貢献するか)について記述しますが、受験するdegreeによって書くべき内容は少しずつ異なります。

例えば、HSPHのMaster of Science (MS)やMaster of Public Health (MPH)については、以下のように記載されています。

  • Academic and/or professional preparation for a career in public health(→自分という人物について)
  • Your focused interest in the degree program/department or MPH field of study to which you are applying(→志願理由)
  • Career plans upon completion of the program at Harvard T.H. Chan School of Public Health(→将来像)

HSPHのMSやMPHであれば600 words以内に収めるよう指示されていますが、これも学校やdegreeによって変わりますのでそれぞれホームページを参照して下さい。また、魅力的なstatementとするためのコツについては、「Personal statementの書き方」をご覧ください

Test Scores

Graduate Record Examination (GRE)

基本的には、志願者は全員受験し、そのスコアを提出しなければなりません。

受験資格を得るための最低スコア

いわゆる、「足切り」ですが、公衆衛生大学院の多くはこの「最低ライン」を公表していません。そして、記事「GRE」でも述べましたように、HSPHのようにGREをそこまで重要視していない学校も少なくないと思います。実際、HSPHのホームページにも

There is no minimum GRE score requirement.”

と書いてあります。

以前記事にしましたが、私のスコアは酷いものでした。しかし、このスコアを用いても、公衆衛生学の大学院ランキング(サイト1サイト2)で1, 2位であるJohs HopkinsとHarvardの両方に合格することができました。

※学校やプログラムによっては、Graduate Management Admission Test (GMAT)など他のテストで代替することも可能となっています。

学校によっては、USMLE Step 2 CSのスコアやECFMG certificationを提出することで、GRE受験を免除してくれることもあります。私の場合、Tulane大学とOregon大学を受験した年は、GREを受験せずにUSMLE Step 2 CSの結果のみを提出しました。

もしGRE以外に何かstandardized examinationのスコアを持っているなら、それが(GREの代わりに)使えるかそれぞれの学校に問い合わせてみると良いでしょう。

English Proficiency

英語が第一言語でない受験者は、通常TOEFLかIELTSのスコアを提出しなければなりません。必要なスコアは学校によって異なります。

HSPHでは、

The Harvard Chan School requires a minimum of 600 on the paper-based test, 250 on the computer-based test, and 100 on the Internet-based 4-part test (we prefer individual section scores of 23 or better).

The IELTS will also be accepted with a score of 7.0 or greater.

と書いてありますし、Johns Hopkinsでも「TOEFT iBT 100またはIELTS 7.0(overall)以上」と、同じスコアが要求されます。

このスコア、純日本人にとっては簡単にクリアできるものではありませんよね。しかし、「ハーバード合格に必要な英語力」で記事にしましたように、もしかするとこの点数をクリアしなくても受験、合格できるかもしれません。最も大切なのは「熱意」ですので、諦めないでadmission officeに聞いてみてください。

Letters of Reference

多くの学校で、推薦状が3通必要となります。誰に書いてもらうかは、「推薦状を誰に頼むのか」でも解説していますのでご参照ください。

ちなみに、HSPHでは

At least one recommender should be a former instructor.

と書いてありますので、やはり最低一通はある程度の役職の上司に書いてもらう必要があるでしょう。

CV/Resume

いわゆる、履歴書ですね。学歴(それぞれの施設名と通った日付、学位名やその取得日)や職歴(雇用日、役職、職務内容)だけでなく、資格(医師、修士、博士、専門医、指導医など)や自分が著者となっている論文や学会発表などについても記載します。ボランディア歴や、何かしら受賞したことがあるのであれば、それらも併せて記載しましょう。

Transcripts / Mark Sheets

応募に際し、成績表も提出しなければなりません。米国やカナダ以外の施設で教育を受け、何かしらのdegreeを持っている人であれば、World Education Services (WES)という機関が、それぞれの国・施設の成績表をアメリカの評価基準に照らし合わせて作成してくれます。

具体的には、自分の卒業大学に成績表の発行を依頼し、WESに直接送付してもらいます。すると、WESがアメリカ基準の成績表を作り直してSOPHASに送付してくれるので、あとは何もしないで大丈夫です。

もし自分の日本の大学での成績が、アメリカの採点基準でどのように変更されるのか知りたければ、SOPHASにだけでなく自宅にも送付してもらうようWESに依頼しましょう。

もし大学を卒業しておらず、MDなどのdegreeを持っていない場合は、それぞれの志望校に聞いてみましょう。おそらく、最終学歴の成績表の直接送付などが求められると思います。

※Interview

私の知る限り、殆どの大学のMPH(PhDではないので要注意!!)が面接(interview)なしで審査されます。英語が苦手な私のような日本人にはチャンスですね。

受験のスケジュール

締め切りは、学校やプログラムによって異なります。それこそ、Tulane大学のように入学が認められる学期が年数回ある大学もありますし、その場合は締め切り・審査も年複数回存在します。一方、HSPHのように入学は年一回(秋:9月頃)の場合には、締め切り・審査も年一回のみです。そして、同じ大学でも申し込むdegree programによって締め切りが異なるので注意が必要です。

ちなみに、HSPHの殆どのdegree program(MPHも含む)の締め切りは、毎年12月1日です。それまでに、上記全ての書類を揃え、試験を受け、SOPHASに提出する必要があります。

まとめ

今回は、アメリカの公衆衛生大学院受験に必要な書類や、スケジュールについて解説しました。学校によって異なる箇所もあるので、それぞれのホームページで確認するか、officeに直接聞いて確認してください。

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