オーストラリアで臨床医として働くためには、Australian Health Practitioners Regulation Agency (AHPRA)という団体からregistrationを許可してもらわなければなりません(”Visa 407の申請手続き~その①”のstep 3参照)。
しかし、このAHPRAが強敵です。外国人医師の多くが、このAHPRA関係の書類で不備を指摘されます。かくいう私も、AHPRAからregistrationの許可がおりず、渡豪して1ヶ月以上働けず”プー太郎”となってしまいました。
そこで今回は、私の失敗談を元に、AHPRAを攻略する方法をシェアしたいと思います。
復習:AHPRAに必要な書類
“Visa 407の申請手続き~その①”のStep 3にも書きましたが、AHPRAからregistrationの許可を得るためには、以下の書類が必要です。
自分がAHPRAへ送付
- Certified copy of your primary medical qualification:卒業大学からの学位記の英訳(のcertified copy)
- Certified copy of evidence of internship completion:臨床研修修了登録書の英訳(のcertified copy)
- Certified copy of your specialist qualification (if you have one)
- Up-to-date CV (this must be signed and dated to confirm currency)
- International Criminal History Check (ICHC): Both the reference page and results
- Certified copy of your English language competency evidence: ex. IELTS results – if English language test pathway
それぞれの団体からAHPRAへ直接送付
- Certificate of Registration Status (CRS) or a Certificate of Good Standing (COGS)
今回は、”Visa 407の申請手続き~その①”のStep 3でカバーしていない事を解説していきます。
注意①:Certified copy
AHPRAに提出する書類の中で、”certified copy“と書いてあるものについては原本を提出する必要がありません。コピーで構いません。しかし、この「コピー」が要注意です。記事”資格証明書のコピーと公証人”で説明しましたが、AHPRAが求めるcertified copyの取得方法は、
- 私が原本とコピーの両方をそのようなauthorized peopleの所へ持参し、
- 彼らがそれらが同じものであることを確認し、それぞれの書類にサインや日付、肩書きなどを記載する。
と書いてあります。そして、その彼らが指定するauthorized peopleとは
- Justice of the Peace
- Notary public
- Australian Consular Officer or Australian Diplomatic Officer
- Employee of the Commonwealth or the Australian Trade Commission who works outside Australia
と書いてあります。
そのため、私はNotary public(公証人)のところに原本とコピーを持って行ってコピーをceritificationしてくれるよう頼んだわけですが、日本の(私がお願いした)公証人は上記の方法でcertifiyしてくれませんでした(詳細はこちらをご覧ください)。
結果、AHPRAからは「これはcertified copyではない」とrejectされました。では、どうすれば良かったのでしょうか。
結論から言えば、日本にあるオーストラリア大使館に行くべきです。一部につき数千円(8千円?)かかりますが(公証人は一部1万円、、、)。もちろん、公証人に丁寧に説明して、AHPRAが求める通りにcertifyしてもらうことも可能かもしれませんが、私の出会った公証人は難しそうでした。やはり、郷に入っては郷に従え。オーストラリアの正式書類はオーストラリア(大使館)からの公式文書でもらうのが一番です。
ちなみに、日本国内ではわざわざ大使館まで出向き、一部につきそれなりのお金を払わなければなりませんが、オーストラリアではこのcertified copyをもらうのは非常に簡単です。なぜなら、authorized peopleに薬剤師も含まれているからです。
すなわち、どこにでもあるスーパーと併設されている薬局に行き、原本とコピーを渡して「Certifyしてくれ」と頼むだけで、簡単に日付とサインをしてくれます。かかる費用はコインのdonationのみ。すなわち、50円でも100円でも構いません。日本なら3部で24,000円+大使館までの交通費、オーストラリアでは自発的な募金のみ。驚きの差ですね。
私の場合、AHPRAにrejectされた時には既にオーストラリアに居ましたので、再提出の際にはこの方法でcertified copyをもらいました。
注意②:Certificate of Good Standing
こちらは注意といいますか、単に私のミスなんですが、提出そのものを忘れていました。
“Certificate of Good Standing”とは、いわゆる「医者として行政処分を受けるようなことをしてないですよ」という証明です。これは、厚生省から発行される「行政処分関係英文証明書」に相当し、厚生省より直接AHPRAに送ってもらわなければなりません。通常、発行に1ヶ月かかります。
(AHPRAだけでなく)一連の手続きで、医師免許証の英訳と臨床研修修了登録証(上記の”evidence of internship completion”)の英訳も厚生省から発行してもらわなければなりませんので、一緒に頼んでおきましょう。
ちなみに、ICHCについては”Visa 407の申請手続き~その①”を参照してください。
さいごに
どうやらvisaの申請とAHPRAからの許可は別物らしく、私の場合はvisaが取得できたため渡豪したのですが、勤務3日前になって突然AHPRAからメールが来て、「あなたの書類に不備があるからまだ働けないよ」と言われました。そこから書類を再提出したため、勤務開始が同期より1ヶ月以上遅れました。
どうやら、毎年AHPRAで引っかかる外国人医師がいるらしく、勤務先からは「You are not the first one, and you are not the last one」と言われました。それでも、これから来る日本人が同じようなミスをして貴重な時間を失わないためにも、私の経験が役に立てばと思います。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] また、”Certified copy“というのがポイントで、コピーを提出する場合はそれぞれが原本のコピーであることを公証サービスや大使館などで証明してもらわなければなりません。詳細はこちらをご覧ください。 […]