ハーバード公衆衛生大学院の夏期講習

ハーバード公衆衛生大学院の授業は、主に秋と春のtwo termsありますが、夏休み・冬休みに集中講義のような授業があります。今回はその中の一つである、

Summer Program in Clinical Effectiveness (通称PCE)

という7月の夏コースについて説明したいと思います。

目次

ハードルの高い受験勉強は必要ない

このコースは、学位のもらえるdegreeだけでなく、学位と関係ないnon-degreeでも申し込めるコースです。そのため、必要最小限のCVやpersonal statement、recommendation letterなどは必要になりますが、degreeのような英語やGREの受験資格などの条件はありません。おそらく、普通に申し込めば受講可能なコースです。

Degreeなら開始前年の12月1日、Non-degreeなら同年の2月1日あたりが毎年締め切りです。

対象

対象とする生徒は、degreeでいうCLEと同じような方々で、疫学や統計に興味があるclinicianやresident, fellow, facultyです。世界中から臨床研究に興味があるphysician(特にアメリカとカナダが多い)が集まっていました。

通年のdegree coursseに比べ年齢層も比較的高く、20代後半から30代、中には40,50代の方もいらっしゃいました。

CLEの学生はPCEを取るために夏からボストンに来ることが多く、それ以外のプログラムの学生は秋からの授業に参加する、という形が一般的です。

時間割と単位

期間は、7月の初めから8月の半ば過ぎまで、計7週間程度です。

時間割としては、一コマ2時間の授業を通常1日3コマ(計6時間)とります。コースは前半と後半に分けられ、一コマ2.5単位ですので、3*2*2.5=15単位もらえます。Degreeの生徒であれば、この単位はそのままカウントできます。

秋や春と異なり、集中講義ですので毎日講義があります。宿題は週1~2回程度ですが、3コース分あるのと、毎日の講義の復習もあるため結構ハードです。

授業内容

疫学と統計の授業は必修で、あとは選択のコースがあります。

例えば、疫学なら

case-control, retrospective, RCTなどの基本的なデザインや、confounder/effect modificationといった疫学に必要な様々な概念を勉強します。また、それら講義で勉強したことを踏まえ、自分で考えたプロジェクトのプロトコールをみんなの前で発表し、paperとしても提出します。

統計なら

正規分布から始まりt-testやWilcoxon, Fisherやchi-square, ANOVA, Pearsonといった相関, power calculationなど、基本的なことから始まり、目から鱗の内容が続きます。

選択では

より統計を勉強したい人にはregressionやlongitudinal analysisといったコースもありますし、今流行りのcostやQuality adjusted life years (QARYs)を考慮したdecision analysis、かの有名なSocial and behavioral scienceのイチロー・カワチ先生の講義など、多彩なコースから選べます。

高額な授業料

比較的簡単にハーバードの授業が受けれるなどのメリットに対し、大きなデメリットの一つがその高い授業料にあるでしょう。2019年の授業料はたった7週間で$20,730(!!)であり、毎年値上げしています。

ただ、これらを自腹で払っている学生はそんなに多くありませんでした。夏のコースの多くの学生(といっても働いていますが)は、各自の所属病院なりラボなりに授業料を(全額)補助してもらいながら来ていました。日本人+αくらいでしょうか、全額自腹で来ているのは。

 

私はdegreeでしたので、夏に15単位も貰えるためその後の学生生活に余裕ができましたし、長い間ボストンで生活できたのでいろんなチャンスも恵まれましたので、PCEは受講して良かったと思っています。

金銭的な問題や、その間の日本での職場への影響などがクリアできるのであれば、degreeでなくてもオススメしたいコースです。

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